会場誘導のバイトで、こんなイベントに行きました。

JETR○



誘導係は同時通訳レシーバーつけちゃまずいから
全部英語の基調講演やスピーチはほとんどわかんなかったんだけど、
日本語と英語の飛び交う討論はとても聴き応えがあって、
全体的にかなりおもしろいシンポジウムでした。



産業振興のための科学技術の研究開発という観点。
アカデミックだけど頭でっかちではなく、
実践的だけど学術研究的な批判精神を忘れない、
思想的にバランスのとれたシンポだと感じました。




このシンポのテーマは科学技術の「光と影」。
例えば講演された遺伝子工学の先生は遺伝子組み換え食品の安全性を強調し、
食糧問題の解決、健康食品の開発という「すばらしい」目的によって、
その必然性を主張する。
すると若い聴講者からこんな意見が。

「食糧問題の解決は弱肉強食パラダイムの完全転換。
人間のエゴを科学技術で達成すれば、地球を飽和させてしまい、
いつか自分たちの首を絞めることになる。
それが人類の宿命なのかもしれないですね。」

また、それとは別に、情報通信技術の専門家に対して、
影イメージである押井守の「イノセンス」的な、
人間が情報をただ受容する客体に成り下がるネットワーク社会を想像し、
注文をつける聴講者もいた。

産業社会からしてみれば穿った見方は、まるで学生みたいな考え方だ。
でも、業界人の講演者たちは具体例を持ち出して応戦する。
理論と実践は競合しても矛盾しないんだということを知ることができた。
学徒たちでも、いっぱい勉強すれば業界に通用するんだ。




総括討議の座長が「Knowledge-Based Society」という言葉を繰り返していた。

知る→考える→行動する
Know→Think→Action

「あなた方は9.11を知っている。
それから5年で、世界がこんなにもfragileなものになったことも知っている。
あなた方は1938年のマンハッタン計画を知っている。
そして1945年に投下された2つの原子爆弾のことも知っている。
あなた方は全世界に65億の人間がいることを知っている。
そのうちの30%がSupreme Povertyであることを知っている。
あなた方は全世界にAIDSで苦しむ人が大勢いることを知っている。
そのうちの75%がEgyptとSouth Africaを除くAfricaに住んでいることを知っている。
あなた方は1992年にインターネットが始まったことを知っている。
現在、当時は予想し得ないほどそれが広まっていることも知っている。
ではなぜあなた方は行動をしないのか。
考えることを止めてしまっているからではないか。」

それまで憧れるほどの頭のキレの良さを披露していた座長が、
これほどストレートに自らの問題意識を提示した。


Digital Divideの問題を逆から捉えるこの考え方に、
オレは「Knowledge-Based Society」の光を見た。