前提として。生産活動およびそれをサポートする活動は行政によって推進、支援される。多くの場合は、何らかの基準を設け、それを満たす活動に対して実施される。公正な基準を設けるのが難しい場合は、定額給付金のように財政出動を伴って一律に実施される。基準は、報奨金支給の場合は、活動成果の質や量に、補助金支給の場合は、その見込みの評価に置かれる。つまり、見込みの評価方法の信頼性が、生産活動支援においてはとても重要ということになる。活動成果の質や量は、自由市場の競争原理が働く場合、活動の中で改善のインセンティブが働くが、それが働きにくい場合(寡占市場、供給不足の市場、非合法ビジネス、公共サービス、家庭など)、何らかの方法によって補助金支給後の成果を担保する必要があるし、成果の出ない対象に対しては改善指導あるいは排除をする必要も出てくる。

ここから本題。生産物を、4つの経済資本すなわちヒト、モノ、カネ、情報に分類して、このうちヒトについて、社会を発展させるために有効な生産活動支援とはどうあるべきかを考えてみる。人口増加は需要拡大に直結するので子育てを推進する施策は必要だが、それだけでなく、生産能力の高い人材を育てることが求められる。評価対象はリテラシーとスキルだから、生産活動は家庭では不十分なので、教育や職業訓練などの能力開発を行う。しかし、人材生産活動の成果の最大化のためには、能力開発と再生産活動への意欲は必須であり、また、障がいなども含めた個人の能力差、あるいは主婦や兼業など複数の生産活動への従事を考慮するならば、それに応じて能力を最大限に発揮するための人材再配置のしくみも整備されるべきである。