デジタル・リマスタリングされたYMOの音源を
このたび初めて聴くことになったんですが、
正直、70年代の日本にこういう音楽が流れていたことに、
ひたすら驚くしかないです。


これまでYMOを僕が聴こうとしなかったのは、それが、
自分が大好きなエレクトロニカやテクノミュージックにとっての
原始時代の化石のようなものであると思ってたからだと思います。

僕らが、アウストラロピテクスや北京原人に対して、
彼らは生産性が低く、野蛮で、理解し合えないという印象を持ち、
むしろ自分たちの祖先だなんて考えただけで嫌悪感をおぼえる、
ということに、似ているかもしれません。

その原始の音楽は政治的に幼稚で、単細胞的で、現在の音楽にとって、
ふりかえりたくない若い頃の失敗みたいなものだと、
勝手に思い込んでいました。



それがそれが、
味付けが違うだけで鮮度も美味しさも今と何も変わらない、
何の遜色もない曲になってるんです。

当時のTECHNOLOGY最先端の象徴としてTOKIOがあって、
彼らがTECHNOPOLISなんて曲を書くのは確信犯だろうと思うのですが、
確信犯としてYMOをやってたってことはたぶん本当で、
今でもそういう音楽的アプローチって難しいので、
やっぱり評価される離れ業なんだなと、思うわけです。


それがカッコいいかどうかなんて時代の趨勢に左右されてしまうけど、
そうならない響かせ方を嗅ぎつけたYMOの勝利なんだと感じました。