3週間前に母親が交通事故で怪我をした。
まだ仕事に復帰できないどころか、自転車にも乗れない。
普段の買い物にも行けず、ずっと家にいるんだ。


だから最近の休みには、車を出して買い物につきあってる。
主婦の買い物というものを、脇で観察。


カートを押しながら野菜やら冷凍食品やらを載せていく老けた母親を見ていると、
なんだかこそばゆい。

そのカートへ、気に入ったデザートやお菓子を載せながら「別会計ね」と言う、俺。
申し訳ない気持ちだけど、そんなの口に出せないから、茶目っ気出して誤魔化す。

俺のほうが自由に使えるお金を持ってて、車も運転できて、体力もあるのに、
積極的に助けようとするつもりはないし、適当な距離を置いている。
自分たちの置かれた状況は徐々に変わっていくのに、これまでの付き合い方を変えない
ほうがやりやすいという暗黙の共通認識に、2人とも甘えているのかもしれない。



今年、母親は50になる。
この人は、自分の未来のことをどう考えているのだろう。