コンテンツ制作は、二次産業だ。
それに対して、コンテンツ販売は、三次産業になる。
前者はアーティストが、後者は出版者やレコード会社などが担う。

ウェブで二次産業は、かなりオープンになった。
アマチュアのアーティストが作品をリリースできる機会を得た。

それと同様に、三次産業もこれからオープンになるだろう。
アマチュアのコーディネーターが、作品を評価したり批評したり、
あるいはそれを通じて二次産業のプロダクトに付加価値をつけたりする。



音楽、映画、アートといった芸術がおれは大好きだけど、
それをつくる人間になろうとは、あまり考えなかった。
手先が不器用、ということもあるけど、
自分の表現を自分で担いきれないと直感的に思うからだ。

一次創作は、その世界観を自分に担保しなければならない。
設定を固めて意味を明確にし、受け身の受け手に伝える。
その明確な世界観にぐいぐい引き込む作品が評価される。

けれどもおれは、ゼロから全部自分で作ることがベストだと思わない。
世界の誰かが発信した一次創作を素材に、それにコメントをつけることで、
二次創作は成立すると思う。

狭義の「二次創作」の代表格である同人誌のマーケットの状況は知らないが、
一般的には、二次創作は一次創作に比べて劣ると考えられている。
但し、それは独創性という点においてであり、
記号とか意味とか享楽とかを考えれば二次創作が優れていることも多い。
(親しみやすいキャラを用いた風刺、クラブDJなど)


コミックマーケット等、二次産業としての二次創作は開花した感があるが、
三次産業としての二次創作はまだ萌芽の時期だ。
そして、仮に自分が創作に関わる人間になるのであれば、
このカテゴリを目指すべきなのではないかと思っている。

出版者、レコード会社、映画制作会社がコンテンツをリリースし、
書店、CDショップ、配給会社・劇場がそれを陳列して展開し、
各メディアがそれを評価して選んだものをさらに展開する。
このコンテンツ3次産業の構造は、いま劇的に変わろうとしている。

世界の誰かが発信した一時創作を、
他の誰かに気軽に展開できるTwitterのリツイート。

Consumer Generated Mediaやソーシャルメディアのおかげで
一次創作が爆発的に増えたことで、二次創作の重要性が高まるはずだ。
何を展開させ、流通させるのを握るのは三次産業としての二次創作だからだ。
次世代コンテンツ産業のアイデアが、そこにある。
この分野ではGoogleもAmazonも磐石ではない。