百貨店、スーパー、コンビニ、カラオケ店・・・。
街じゅうのいたるところで義援金の寄付の呼びかけが行われています。


僕もいくらか寄付をするつもりです。まず地震発生直後に、会社を通じて日本赤十字に1,000円寄付しました。

それから、セゾンカードの永久不滅不滅ポイントを義援金にできることを知ったので、
5000円分のポイントを義援金に換えて寄付しました。
2011/04/10 23:29:37
永久不滅ポイントで被災者義援金!1000ポイント(5000円分)を寄付しました! http://www.eikyufumetsu.jp/rc/jishinkifu/


そして、「Run×10(ラン・バイ・テン)運動」というものに触発されて、Twitterでこんな宣言もしました。
2011/04/09 22:52:12
決めた!地震から半年の9/11までに走った距離(km)×10円、泳いだ距離(km)×100円を、被災地支援団体か中央共同募金会に寄付します。 http://cyblog.jp/modules/weblogs/6324


このツイートの中で、「被災地支援団体か中央共同募金会に」と書いたのは、3つ理由があります。



1つめは、「みんな日本赤十字社にこぞって寄付しているけれど、他にないのか?」と考えたことです。
日本赤十字社は大きな組織ですから経費も莫大。そこよりも経費の割合が小さいところは
たくさんあるだろう、という事です。日本赤十字社の活動を支持しないわけではありませんが、
被災者がより大きく恩恵を受けられるよう、他の団体も探してみようと考えました。

調べてみると、今回の東日本大震災の義援金受付については、どうやら全額が
被災者に渡るということだったので、別に赤十字でもよかったのですが、そこは僕のあまのじゃく。
日本赤十字社に寄付が集中しすぎて、そのプレゼンスが上がりすぎるのではないか、と考えました。
赤い羽根募金などの活動をしている中央共同募金会も、義援金の受付体制は整っているはずです。
であれば、もっと受付窓口にバリエーションがあってよいと思いました。



2つめは、義援金の使い道です。
「被災者支援」と「被災地支援」のどちらを希望するのか、ということと関係します。
日本赤十字社も中央共同募金会も、集められたお金は被災世帯に支援金として直接支給されます。
(自宅避難者にどういうスキームで支給するのかという問題もありますが・・・)

東日本大震災義援金を受け付けています(日本赤十字社)

しかし、僕が拠出しようとしている金額は、微々たるものです。
被災者に支給されたら、食料とか衣料とかに使われてすぐになくなってしまいます。
だから、僕のエゴと言われても良いのですが、僕が寄付をする意味を真剣に考えると、
重要なのは、金額の多寡ではなく、何に使われるかということになります。
言い換えれば、レバレッジの利いた寄付をしたいと考えています。

2011/04/20 07:57:43
僕が拠出できる金額は僅か。だからこそ、成果の大きい復興支援に使いたい。▶お金の流れも、義援金から復興支援へ。 真価が問われる「復興支援ファンド」の使い道|『社会貢献』を買う人たち|ダイヤモンド・オンライン http://t.co/iOTzrBF via @dol_editors

そこで、僕の寄付したお金を元手に活動を行って、その金額より大きなリターンを
被災者に与えることのできそうな被災者支援団体を探そうと考えています。
この震災の被災者支援はかなりの長期戦です。半年後も1年後も寄付が必要になります。
9/11までに、たくさん走ってたくさん泳いで拠出金額を増やすとともに、
どの団体に寄付するのかも、じっくり考えるつもりです。



3つめは、別の観点から。
所得税や住民税には「寄付金控除」というものがあるのを、みなさん知っていますよね?

寄付金控除(国税庁)

対象となる団体に寄付した金額は、領収証を添付して確定申告をすれば、
わずかですが、還付金が戻ってきたり、次年度の税額が下がったりします。
僕は、ユニセフのマンスリーサポートプログラムという仕組みを利用して、
クレジットカードでユニセフに寄付をしているのですが、昨年度は1350円の還付金を受けました。

この寄付金控除のイマイチなところは、確定申告が必要だということです。
サラリーマンには手続きがよくわかりません。僕も最初の年は苦労しました。
けれど確定申告のウェブサイトは毎年少しずつ改善されていて、
手続きの煩雑さはかなり緩和されています。慣れれば簡単です。

    1. 源泉徴収票を見ながら入力して作成した申告用紙をプリントアウト
    2. 源泉徴収票と領収書を添付して郵送


ところが、確定申告が必要ということ以上に問題なのは、対象団体が非常に少ないことです。
赤十字や中央共同募金会、ユニセフなど、かなりメジャーな団体でなければ、寄付金控除の対象になりません。

ある程度まとまった金額を寄付する場合や、毎年継続して支援することを考えると、
僕は節約志向なので、やはり寄付金控除の対象となる団体に寄付したいと考えます。
そうすると、寄付先の選択肢は相当限られてしまいます。

政治資金規正法などとの関連もあって難しかったこのあたりのルールを変える動きは、
国会で高まっていたのですが、年初の政局が相当混乱したせいで、結局廃案になってしまったようです。

2011/03/13 14:05:08
地震前のツイートだけど、今こそ法案の重要性がわかる。引き続き働きかけたい。RT @Hiroki_Komazaki: NPO経営者の皆さん、我々の悲願の寄付税制改革は、今まさに葬られようとしている: 全国の同志の皆さん、残念なお知らせです。 http://bit.ly/fzYHKP


僕はこの寄付税制改革の実現を訴えます。
メジャーな支援団体だけでなく、急造の小規模な支援組織でも、
生産性の高い、少ない資力で大きな効果を生むことのできる団体に寄付することが、
寄付金控除という支援者支援のしくみに取り入れられることを望みます。
そして、タイガーマスクのような匿名の寄付行為だけでなく、
実名を出して顔の見える寄付行為をすることが、うがった見方をされずに、きちんと賞賛される。
そんな寄付文化が、日本にも築かれることを目指したいのです。

そして、「寄付金控除の枠組みを利用して被災者を支援する」ことの不自由さをアピールするために、
寄付金控除の対象となる団体の中からもひとつ選んで、義援金を小額寄付するつもりです。



さて、そんな3つの理由で、被災地で活動し、活動資金を必要としている支援団体の中から、
寄付する団体を選ぼうと考えているのですが、ここでひとつの問題にぶつかります。

どの団体が信頼できるのか、実行力があるのか、わからないのです。

この事に関連して、
特に法人が被災者支援を唱えるときに、こうした被災者支援団体を寄付先に選びづらいという問題について、
社会起業に詳しいフリーライターの今一生さん(@conisshow)とTwitterでやり取りをしたことがありました。

2011/04/20 23:46:54
社会的信頼のあるNGOが素早くNPOを審査して推薦する仕組みも必要だ。RT @conisshow: 被災地の避難民を直接支援している現地のNPOは支援活動費に困窮してるので、直接振り込んだほうが有意義に早く活用される「生き金」になります http://bit.ly/hNwc2y

2011/04/20 23:48:42
@tdswordsworks オーソライズというのは、結局は市民自身が決めるものであり、それは社会的価値という市場においてオープンなものがベストですよ。つまり、既存の権威からの認められるということ自体がオルタナティブな価値を救い上げることにそぐわないのです。

2011/04/21 00:28:28
@conisshow 個人がNPOを選んで支援する場合はそれでいいのですが、非オーナー経営の法人がこぞって赤十字社に義援金を送ってる現状を省みると、既存の権威による推薦もあったほうがいいなと思います。実績不明のNPOにお金を出す判断は社内稟議通りづらいので、安全パイの赤十字社へ。

2011/04/21 00:33:06
@tdswordsworks もっともね、大企業のCSRは独自の基準で助成金を出す際にNPOの内部調査をやるんですよ。なので、事実上、助成金対象として認められれば、一定の信頼を得られるわけです。たまに、調査が甘いところもあるけど、概ねそこで信頼は担保されてます。

2011/04/21 08:27:58
@conisshow 支援対象候補の社会的価値を自ら判断する人は増えますね!一方でそんな難しいこと期待できないクラスタもいるので、初めの一歩がオーソライズ情報でもいいかなって。初めは薦められたものを買ってハマったら自分でお気に入りを探すスタイルなら、慣れてるから。

2011/04/21 11:28:20
@tdswordsworks なるほどね。もっとも、社会的信用のあるNGO自体が、信頼性の高いNPOを精緻かつ早期に認証していく仕組みを「誰」が音頭をとって作り上げるか次第ですね。それさえ明らかであれば、話は進むし、有事に備えられますね。


今、義援金の寄付は一種のブームになっています。
多くの人が義援金として寄付をしています。

けれど感じるのは、「周りもやってるから自分もやろう」という感覚です。

とてもすばらしいことに、いろんな企業や団体が義援金を受け付けていて、
受身であっても、寄付という行為ができてしまう環境が作り上げられています。
しかし、この環境は長く維持できるものではありません。
日本赤十字社による東日本大震災義援金の受付は、今年の9月30日で終了するのです。

寄付税制が貧弱なこの国では、寄付をするためには、積極的な意思が必要です。
「お願いします!」と呼びかけられなくても自ら募金箱を探して寄付するぐらいの積極性が必要なのです。

今一生さんの言うように、それを兼ね備える、寄付に対して抵抗のない人たちが
支援すべき団体を自ら探して寄付を行うという行為は、どんどん広まっていくと思います。

けれども、そうでない人たちがたくさん寄付をして困ったときに助け合えるだけの資金が集まることが、
人口減少・少子高齢化により競争力が低下する21世紀の日本社会には、絶対に必要です。

それを実現するヒントになるのが、野菜のタグについてる生産者番号です。
生産者番号の他に、売場に生産者の顔写真が貼ってあったりもします。
そういう野菜が「安心」だとして、選んで買われるのです。

自分の寄付したお金が誰に渡るのか、どんな活動に使われ、どんな成果が出るのか。
これが明確になれば、寄付という行為に対する心理的ハードルはもっと下がるはずです。
義援金の配分では、個人情報保護の都合でそれは難しいでしょう。
だからこそ、今回の義援金ブームをそれだけで終わらせずに、被災者支援組織に対する寄付を
いかに多く集めるかが、日本の寄付文化の定着につながると、僕は考えています。



この記事を、ツイート・シェア・トラックバックしていただけると非常に嬉しいです。
みなさんの考えも聞かせてください。
よろしくお願い致します。