BLOG by tdswordsworks

ACTIVATE MY MIND. Still Feb 4th 2004 -twitterに書ききれない雑感など-

カテゴリ: 映画

年間に100本も映画を観てると、1本1本に対する評価は割とスパッと決めて片っ端から忘れていくことになるのだが、
どう評価してよいかなかなか結論が出ない作品というのがある。
「風立ちぬ」はそういう作品のひとつだった。

だから完全にタイミングを逸した、しかも走り書きのような
こんなポストをすること、ご容赦いただきたい(笑)



少年少女の夢や成長を描いて、いくつもの傑作を生み出してきた宮崎監督。
「風立ちぬ」では、主人公が仕事と家庭を持った成人男性に変わっても、
彼の夢をロマンたっぷりに美しく描いてみせた。

けれど主人公は、ドイツ留学の経験から太平洋戦争が負け戦だとわかっていて、
戦闘機が殺戮の道具でしかないと思っていながら、夢のためにそれを利用した。
それをこんなふうにキレイに描くなんてタチが悪いという思いは、
鑑賞後もずっと抜けなかった。


僕が予告編だけで泣かされた「風立ちぬ」は、宮崎作品では初めて実在の人物を描き、
そのため時代設定やら外国事情やらも明確な史実に基づいている。
主人公が成人男性というのも異色だ。

「紅の豚」も成人男性のロマンと恋愛を描いた作品ではあるけど、
なんやかんやしてラストには豚の姿という呪いが解かれた(と推測される)ことが、
問題は全部解決しました、めでたしめでたし。という展開につながる極めて寓話的な話であるのに対し、
「風立ちぬ」はどこまでもbased on a true storyであり、
物語のテーマをアニメの世界から現実に置き換えて捉えられることから、逃げることはできなかった。
どんなに叙情的に描いても。

本作は、日本禁煙学会の要望書も話題になった喫煙シーンの多さが特徴だし、
上記の、人命を利用して夢を追い求めるという罪悪感みたいなものがテーマのひとつだった。

「紅の豚」の醜さはあくまでもファンタジーだけど、
「風立ちぬ」のこの醜さはファンタジーになり得ない。
その醜さに心を掻きむしられながら、恋愛や夢の追求の物語に思いを馳せる。
まるで僕らが現実社会で日々感じるような矛盾、本音と建前、表と裏を同時に見せつけられるような、
そういう気持ち悪さ。


どこぞのインディーズ制作会社がそういうアグレッシブな問題を投げかけるような、ガツンとくる作品を出すならわかるのだけど、
それをやってのけたのがかのスタジオジブリ、というのがただただ驚きだったのだ。


話は変わる。
主人公は、病気の奥さんがいるのにもかかわらず家庭を顧みずに仕事に没頭した。
キスシーンくらいはあったかもしれないけど、奥さんへの愛情表現は、現在の常識からすると相当に蛋白だ。
これを、家庭至上主義、特に仕事より家庭が大事だと信じて疑わない田舎のヤンキーたちが、
どう思うか、非常に気になるところだ。


2011/05/04 23:06:44
レイトショーの「歓待」もすげー面白かった!登場人物がどんどん増えていって状況がぐちゃぐちゃになっていく展開がたまらない。プロデューサーはなんとおれと同い年の女性。

2011/05/04 20:59:21
「ミスター•ノーバディ」よかった!例えるなら、ラブストーリー版「インセプション」。現実を何層も重ねて行ったり来たりの、夢幻の映像世界。

2011/05/01 22:07:52
名探偵コナンの劇場版、弟が大プッシュしてたから久しぶりに観た。劇場版の犯人は、いとも容易く爆弾を調達、設置するなー。しかも、絶対死者が出そうな規模で地下鉄や首都高や高層ビルやダムが爆破されるのに、なぜか奇跡的に死者が出ない。

2011/04/20 21:16:56
「婚前特急」:吉高由里子の魅力全開、とはいかず、まぁ半開きくらいかな。SAKEROCK浜野に殆んど持っていかれた感じ。何だろうなー、バカな脚本だけど楽しい。結末は見えてる話だけど、終盤あんな仕掛けがあるとは…所々で爆笑。こういうの好き。

2011/04/16 01:10:29
『SOMEWHERE』映画表現の理想と現実について、僕が映画に対して抱く憧憬と嫌悪について、ソフィア・コッポラ監督ならではの視点で実に的確に描ききっている。 http://htn.to/cg5hWQ

2011/04/06 01:03:22
映画 「わたしを離さないで」は、予告編で内容見せ過ぎ、煽り過ぎです。物語としては優れていますが、映画として観てしまうとちょっと物足りない。この作品を映像化したメリットは、若手俳優が泣いたり叫んだりおびえたり悟ったりする演技を見られる、といった所でしょう。

2011/03/20 19:43:58
昨年パルムドールの「ブンミおじさんの森」は、妻の幽霊とか猿になった息子とか幽体離脱とか、ストレートにファンタジー過ぎて、かと思えば内戦の痛みとか血生臭い要素もあり、完全に振り回され置いてかれた…。けれどエンディングが現代音楽だった事からも解るように、これは僕たちの物語なのだろう。

2011/03/05 19:09:19
「神々と男たち」初日上映だん。修道士の質素な生活が繰り返し描かれかなり眠くなるけど、そこに交じるテロへの恐怖と、神に仕える身としての使命感。心にに厳かな気持ちを残す作品。 @ シネスイッチ銀座にタッチ! http://tou.ch/Rtrlax

2011/03/01 22:40:42
「キック•アス」は、アメコミに憧れてヒーローの変装をして街に出たけどボコボコにされたオタクの高校生を描く(あらすじをこれ以上書くと面白くなくなるのでやめとく)。めちゃめちゃめちゃくちゃ面白かった!痛快!男子の冒険心を隅の隅までくすぐるパーフェクトな出来に、涙まで出てきた。

2011/02/20 17:08:05
「ウォール・ストリート」を観て、日本に無いと感じたのは「赦し」という概念だ。日本では、過ちを犯した者は一生その罪を背負うをことを期待されるが、米国では、罪を悔い改め善い行いをすれば、「赦し」を得られ、再起を図ることができる。

2011/02/06 09:08:29
「鉄コン筋クリート」を鑑賞。ハードボイルドなアジア映画を、子ども中心に再構成して戯画に仕上げたようなアニメ。「クロの足りない所、シロが全部持ってる!」は名言。一緒に観てた両親の評判も良く、特に父は「目の描き方が丁寧で、表情が豊か。」と評していた。

2011/01/21 23:49:49
園子温監督の未公開作「Make the Last Wish」パワー凄っ!実際のオーディションと映画脚本を無理矢理合わせる意欲作。テロップ、映像効果、下手な演技を補正する編集処理もきちんと済んでないので未完成感たっぷりだけど、満島ひかり人気さらに高まればDVD化は期待できるかな。

2011/01/21 03:00:43
まだこの世界に存在しない幸せのかたちを作っていくのが楽しい、そういう風にしか生きられない、という山川冬樹さんの考えに激しく共感。終盤音楽が気持ちよくて眠ってしまって勿体なかったけど、観て良かったなー。「We Don't Care About Music Anyway」




以下の作品については、専用のブログにもう少し長めのレビューを書いています。
 tdsReviews

  • SOMEWHERE
  • 名前のない少年、脚のない少女
  • キック・アス
  • ウォール・ストリート
  • 海炭市叙景


  • 恵比寿ガーデンシネマで「クリスマス・ストーリー」というフランス映画を観てきたのだけど、正直つまらなかった。クリスマスを前に久しぶりに再会した家族内の不和から起こる波風と各登場人物の感情の機微を描いた物語なのだけど、それぞれの人物がどうしてそんな発言をするのか、俺のフランス文化に対する造詣が浅いせいなのか、充分に理解できなかった。まず名前と顔を一致させるまでに一苦労。誰と誰が共感してて、社会的地位を持っているのは誰で、脇役陣は主役陣にどんな影響を与えることを期待されているのか。クラブハウスにいる女が夫の前で見知らぬ男性に肩を寄せる行為が、2009年のフランスでどんな意味を持つのか。つまりまとめて言えば、登場人物があるアクションを起こしたときに、それが常套的なものなのか、それとも意外性を持ったものなのか、わからないのだ。これでは話に置いてけぼりにされてしまう。あと、クリスマスである必然性がなかったのも不満要因。

    さて、本編以上にがっかりしたのは、上映館であった恵比寿ガーデンシネマに対して。館内に着いて土曜初回のチケットを購入し、場内に入ってみると、まったく席が空いていない。空席が見つけられたのは前2列のみ。たまたまロビーに人が少なかったので大丈夫と考え、チケットカウンターで残席の確認をしなかった俺も悪いのだけど、劇場内がそんな状態だということを、整理番号を打刻するチケットカウンターのスタッフは当然把握しているはず。それなのに、チケット購入の際に注意喚起をしないのは不親切すぎるでしょう。そこで、だめもとで次の上映回への変更(=チケットのキャンセル)をお願いしようと不満を申し出たところ、不手際に対するお詫びの言葉もなくいきなり「キャンセルはできません」の一点張り。カチンときて、こちらの主張を押し通し、無理やり上映会を変更させました。
    そんなこんなで鑑賞したわけですが、場内の温度設定高すぎて暑い。いったいこの映画館は何をしたいのでしょうか。来月28日をもって休館するという案内がありましたが、この運営の仕方では、存続できなくて当然でしょう。

    映画を観るようになって3年ぐらい経ちました。
    これまでは観た作品の絶対数が少なくて、
    何が一番好き?みたいな質問に答えづらかったのですが、
    本数だけ数えれば経験値も溜まったと言えるようになったので、
    好きな映画をまとめてみることにしました。

    邦画、洋画、アニメ、ドキュメンタリーからそれぞれ10本選びました。
    今年の公開作からは、洋画に1本、ドキュメンタリーに3本入りました。


    邦画
    1. リリイ・シュシュのすべて
    2. キサラギ
    3. 夜のピクニック
    4. 愛のむきだし
    5. かもめ食堂
    6. ディア・ドクター
    7. GO
    8. 雨あがる
    9. 誘拐
    10.グミ・チョコレート・パイン


    洋画
    1. HOME ALONE 2
    2. love actually
    3. FUNNY GAMES U.S.
    4. JURASSIC PARK
    5. Erin Brockovich
    6. 練習曲
    7. パリ20区、僕たちのクラス
    8. BACK TO THE FUTURE PART Ⅲ
    9. Brokeback Mountain
    10.FROZEN TIME


    アニメ
    1. 秒速5センチメートル
    2. 時をかける少女
    3. 天空の城ラピュタ
    4. 耳をすませば
    5. ドラえもん のび太と雲の王国
    6. 名探偵コナン 時計じかけの摩天楼
    7. イノセンス
    8. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲
    9. MIND GAME
    10.THE LION KING


    ドキュメンタリー
    1. ビルマVJ 消された革命
    2. SHARKWATER 神秘なる海の世界
    3. WAR DANCE 響け僕らの鼓動
    4. Bowling for Columbine
    5. トーテム song for home
    6. 新しい神様
    7. Hearts And Minds
    8. パリは燃えている
    9. ファイナル・ソリューション
    10.レフェリー 知られざるサッカーの舞台裏


    邦画は、鑑賞本数が圧倒的に多いので、個人的にはハイレベルなランキングです。
    けれど、この40本からさらに3本選べと言われたら、アニメのTOP3をそのまま持ってくるでしょう。

    都会の生活感がとてもうまく出ているのは、全編即興演技だからだろうか。
    冒頭のパーティのシーンは、編集や美術のスタッフも総出で演技していて、
    個人的にかなりお気に入りの、魅力的なシーンになっている。

    「喪失感を表現したかった」とは監督の弁。
    主人公の真琴が「ひとりにしないで」と泣きじゃくるシーンを観たとき、
    あ、シーソーってピッタリなタイトルだな、と思った。
    通常、映画でモチーフとして用いられるシーソーってあまり必然性が無くて、
    登場人物の関係のバランスが微妙に変わることの象徴でしかなかったりするけど、
    この映画に関しては、バランスなんて振り切って喪失感がテーマ。
    向かい合うのでなく、2人で同じ方向(カメラ)を向いてシーソーの両端に座るのは、
    あまり観るようなことがないんじゃないか。おもしろかった。


    「ビルマVJ 消された革命」 - Choo DATABASE & REVIEW

    軍事政権による民衆弾圧と、それに果敢に立ち向かう僧侶たち、そして民衆を
    隠しカメラで追った、衝撃の記録。

    憤りと悲しみと無力さと正義感で感情がぐちゃぐちゃになった。本当にすごい。
    ビデオジャーナリスト達が命を賭けて撮った映像に僕の体は反応し、
    複雑骨折寸前だった。おかげで目が醒めた。


    この映画、日本人ジャーナリストが至近距離から狙撃され倒れる瞬間が出てくる。
    もう何でそういうことになるのか全然腹落ちしなくて、
    国が国民を痛めつける行為がまかり通るその道理が理解できなくて、
    その映像をどうやって考えればよいのかわからくて、変な汗が出てきた。

    これは他国の内政問題かもしれないが、それ以上に人権の問題。
    映像には、そう思わせるパワーがある。

    さらに言いたい。この問題でビルマに圧力かけるなら日本人が適任なんだ。
    この映画はアカデミー賞で注目され、セレブが配給権を獲得するなど
    欧米圏での話題性は大きい。それだけに、長井さんの死に対して行動しないと、
    日本人なにやってんだってことになるぞ。

    ちくしょー、何すればいいんだ。


    http://www.burmavj.jp/
    上映館は、渋谷と表参道のちょうど中間ぐらいにあるミニシアター、イメージ・フォーラム。
    ぜひ観てほしい。賛同してほしいから。


    映像の本質は撮る者の意志。
    政治的な意味を差し引いても、筆舌に尽くせぬよい作品だった。

    1. 愛のむきだし
    2. ディア・ドクター
    3. サマー・ウォーズ
    4. LE CODE A CHANGE (コード) <仏>
    5. 17アゲイン <米>
    6. 無防備
    7. WAR DANCE 響け僕らの鼓動 <米>
    8. ホノカア・ボーイ
    9. トーテム song for home
    10. 俺たちの世界



    上映時間が4時間近くに及ぶ1位の「愛のむきだし」を始め、
    クセのある作品を多く並べてしまいましたが、
    2位「ディア・ドクター」、3位「サマー・ウォーズ」、
    あと7位の「WAR DANCE~」については、万人にオススメできます。


    各作品予告編映像、僕のレビューはコチラ



    先日のフランス映画際、とある女性監督がトークセッションで、

    「私は、どうしても映画にしなければならないと思うものしか撮らない。
    だから、私の中の空隙を埋めているのが映画づくりだと言える。」

    と語っていた(もちろん話したのは通訳だが)。


    オレがブログを書き続ける理由に似ていると思った。
    「6周年」でこれに触れてる)

    インプットでは満たされない事柄について、
    アウトプットによって満たすことができる。
    それは自己満足かもしれないけど、エネルギーを持ち、人を惹きつける。

    人間の心は、おもしろいようにできてるね。

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