BLOG by tdswordsworks

ACTIVATE MY MIND. Still Feb 4th 2004 -twitterに書ききれない雑感など-

カテゴリ: 社会・経済・政治

マイナンバー・ガイドラインに続いて、こちらも大注目の個人情報保護法改正の動き。

今年の通常国会に提出される予定とされていて、
去る12月19日には、政府の検討会において内閣官房より
パーソナルデータの利活用に関する制度改正に係る 法律案の骨子(案)
が公表されましたので、今度はこちらについて。


まず、改正骨子の案の概要としては、次の5点にまとめられます。

  1. 個人情報の定義の拡充
  2. 適切な規律の下で個人情報等の有用性を確保するための規定の整備
  3. 個人情報の保護を強化するための規定の整備
  4. 個人情報保護委員会の新設及びその権限に関する規定の整備
  5. 個人情報の取扱いのグローバル化に対応するための規定の整備



1と4については、ふんふんなるほどねーといった内容であまり懸念材料もなく
妥当な方向性だと思うので割愛。
2,3,5について気になるところをピックアップしてみます。



2.適切な規律の下で個人情報等の有用性を確保するための規定の整備

(1) 匿名加工情報(仮称)に関する規定の整備
(ア) 第三者に提供するために匿名加工情報を作成するときは、4の個人情報保護委員会に届け出た上で、個人情報保護委員会規則で定める基準に従い、個人情報から特定の個人を識別することができる記述等の削除(他の記述等に置き換えることを含む。)をするなど、当該個人情報を復元することができないようにその加工をしなければならないこととする。また、匿名加工情報を作成した者は、削除をした記述等及び加工の方法に関する情報の漏えいを防止するために必要かつ適切な措置を講じなければならないこととする。


今回の法改正の最大の注目ポイントは、匿名加工方法についての「基準」ですね。
どんな基準に仕上がるのかは非常に気になるところですが、
例えば人材会社が登録者のデータベースをオープン化するにあたっては、
ある程度プロファイリングできる程度に個人の特徴を残さなければ意味がないので、
相当知恵を絞らなければいけないのは確実と言えそうです。



3.個人情報の保護を強化するための規定の整備

(1) 要配慮個人情報(仮称)に関する規定の整備
本人に対する不当な差別又は偏見が生じないようにその取扱いについて特に配慮を要する記述等(例:本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪被害を受けた事実及び前科・前歴)が含まれる個人情報については、本人同意を得ない取得を原則として禁止するとともに、利用目的の制限の緩和及び本人同意を得ない第三者提供の特例の対象から除外する。


ある程度定着していると言える「機微情報」「センシティブ情報」と言い回しを変え、
「要配慮個人情報」という造語をした意図が気になります。法案をつくるにあたっても各所からの陳情に
「配慮」する必要のある規定ですが、OCODプライバシー・ガイドラインから大きく逸れないようにしないと
いろいろと弊害も出てきそう。JIS Q 15001の規定との整理も待たれるところです。


(2) 第三者提供に係る確認及び記録の作成の義務付け
(イ) 個人情報取扱事業者は、個人情報データベース等の第三者提供をしたときは、提供の年月日、提供先の氏名等の記録を作成し、一定の期間保存しなければならないこととする。


構造化されていない数名分の個人情報が「データベース等」に含まれないことを確認したい
ところです。人材業界は非常に大きな影響を受けることになります。
また、公表資料をみると委託による提供は「第三者提供」に含まれるものとされているようですが、
データベースを同期するなど共同利用に近い形式で情報を預託している場合には記録の作成は
免れるのかなど、現段階では妥当な運用を想定しにくい記述でもあります。


(4) 本人同意を得ない第三者提供への関与(オプトアウト規定の見直し)
個人情報取扱事業者は、本人同意を得ない個人データの第三者提供をしようとする場合には、次の事項を、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、あらかじめ本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置くとともに、個人情報保護委員会に届け出なければならないこととする。
(略)
この場合において、個人情報保護委員会は、その内容を公表しなければならないこととする。


利用目的の変更と第三者提供のオプトアウトについては、既にJIS Q 15001をベースにして
運用している私の勤め先のような事業者にとっては影響がなさそうです。
なお、個人的には、個人情報保護委員会がこれを公表すると、
(語弊があるかもしれませんが)当事者以外の「物好きな外野」によってネット上で執拗に批判され、
結果として事業者や消費者のためにならない事態が生じるおそれがあるのではないかと思います。
また、この「個人情報保護委員会」への届出のために、利用目的と第三者提供の有無について
一元管理されることが半ば必須になると思われるのですが、プライバシーマーク取得事業者
意外でそのような体制を構築できるのか、疑問が湧くところです。


(6) 個人情報取扱事業者による努力義務への個人データの消去の追加
個人情報取扱事業者は、個人データを利用する必要がなくなったときは、遅滞なく当該個人データを消去するよう努めなければならないこととする。


努力義務とはされていますが、明確に規定されたことで、
ビッグデータ活用との関連でいうと、どんなデータが価値を持つのか分析するまでわからない
というのがアナリティクスにおける定説になっていますので、コンプライアンスとのバランスを
どのように考えるのか、多くの事業者が頭を悩ませることになりそうです。



5.個人情報の取扱いのグローバル化に対応するための規定の整備

(3) 個人データの外国にある第三者への提供の制限
個人情報取扱事業者が個人データを外国にある第三者に提供する場合は、当該提供についての本人同意を得るか、次のいずれかの要件を満たさなければならないこととする。(ア) 我が国と同等の水準にあると認められる個人情報保護の制度を有している国として個人情報保護委員会が定める国にある第三者に提供すること。(イ) 当該第三者が本法の規定により個人情報取扱事業者が講じなければならないとされている措置に相当する措置を継続的に講じるために必要なものとして個人情報保護委員会規則で定める基準に適合する体制を整備していること。
※現行の各企業の適切な移転手続きが合法であることを明確化。


事務センターやシステム保守をオフショアで運用している場合に懸念になりそうなのがここです。
中韓、フィリピン、ベトナムあたりが(ア)を満たせないと、オフショアアウトソーシングの潮流に
大変動が起きるかもしれません。



2016年1月から利用が開始されるマイナンバー、僕の勤める業種では非常に影響の大きい制度なので、強い関心を寄せています。
mk_02


これについて、12月11日に「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」の確定版が、政府機関である特定個人情報保護委員会より公表されました。
同時に、このガイドラインの案の段階で行われていたパブリックコメントの結果についても、寄せられた218もの意見とそれに対する委員会の考え方が並んで記されるかたちで公表されていたので、ひととおり読んでみました。

「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)(案)」に関する意見募集の結果について


参考になる点が非常に多くあった一方で、やはりまだ判然としないガイドも多くあります。
ここでは、特に気になった委員会の回答、もしくは寄せられた意見を、僕のコメントを添えてピックアップしておきます。


11.従業員等が事業者に扶養控除等申告書を提出するまでの間に、その扶養控除等申告書に記載されている扶養親族等の個人番号が漏えいした場合においても、事業者が責任を負うことはありません。

 →そのとおりだと思うのですが、会社がコスト削減のために安価な運送事業者を指定して、その過失により漏えいしてしまった場合には、トラブルになりそうだなと思います。

38.事業者と従業員等との間の法律関係等に基づき個人番号関係事務の発生が予想される場合には、あらかじめ複数の事務を利用目的として特定し、通知等を行った上で、個人番号の提供を受けることができます。

 →「法律関係等」とあるので、事業者と消費者の間の民事上の契約関係に基づいて個人番号関係事務の発生が予想される場合も含むと解釈できますので、派遣登録だけでも、一定の条件を満たせば提供を受けることが可能と言えそうです。

39.記述を、「当初の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲内で利用目的の変更及び本人への通知等を行うことにより、変更後の利用目的の範囲内で個人番号を利用することができる。」という記述に修正しました。

 →「当初の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲」って、個人情報保護法第15条を念頭に置いた記述なんだろうけど、ますますよくわからなくなってきました…。同法に関する経済産業分野のガイドラインにある例示を踏まえて考えると、個人番号関係事務すべてが「合理的に認められる範囲」に含まれると捉えられかねないのではないかと。特に、プライバシーマーク取得事業者には通知公表だけでなく同意確認が求められるので、どんな変更について同意を取り直す必要があるのかが曖昧になると非常に厄介です。

45.複数の事業者から委託を受けている場合において、委託を受けた者は、通常、それぞれの委託者ごとに情報を管理していると考えられます。また、委託契約においては、委託者の情報を他に漏らすことのないように秘密保持義務等が規定されているものと考えられます。

 →果たして民間事業者の実態はそうなのか、疑問に思います。どの受託契約でも共通に用いる書類(例:請求書)は特段分けて管理されていないんじゃないかなぁ。まあ、特定個人情報ファイルを一緒くたにして保管することは確かに考えにくいけれど、安全管理措置として非常に重要な観点なので、これを機に点検・啓発をしたほうがよさそうです。

46.ソフトベンダーに特定個人情報等の修復のためにデータを送る場合も再委託として取り扱われることとなります。

 →次の52の前提としてこの整理だと厳しいなぁと思います。予め契約に入れておくことになるのか?そもそもホスティングサービスの場合は?グループ内のサポート系機能子会社に修復を委託する場合は?いろいろ疑問が出てきます。

52.再委託につき許諾を要求する規定は、最初の委託者において、再委託先が十分な安全管理措置を行うことのできる適切な業者かどうかを確認させるため設けられたものです。したがって、委託者が再委託の許諾をするに当たっては、再委託を行おうとする時点でその許諾を求めるのが原則です。

 →つまり、個人番号関係事務の受託契約については、再委託が想定される子会社への再委託を予め認める内容を盛り込むほうが無難ということでしょうかね。

60.クラウドサービスが番号法上の委託に該当するかどうかは、クラウドサービス事業者がその契約内容を履行するに当たって個人番号をその内容に含む電子データを取り扱うのかどうかが基準となります。(中略)個人番号をその内容に含む電子データは、仮に暗号化等により秘匿化されていても、その秘匿化されたものについても個人番号を一定の法則に従って変換したものとして、個人番号として取り扱われます。

 →ユーザーが暗号化したデータをクラウドサービス事業者側で複合化できないようにすれば、「取り扱う」とは言えず委託に該当しない、と解釈していいのでしょうか?この説明だと判然としませんね。事業者(個人番号関係事務実施者)にとってはマイナンバー制度導入により負担が増えるだけなので、その負担を減らすための情報処理設備の積極的な活用も念頭に置いた回答が欲しかったのですが。

79.制度の円滑な導入、事業者の負担、個人番号の数量等による影響等を総合的に勘案し、原則として、中小規模事業者を従業員数 100 人以下としました。

 →100人の根拠ってなんだよ、という意見はたくさん出そうですが、決めるしかないし、妥当な基準だと思います。

83.電子媒体又は書類等を持ち出す際の安全な方策の例として、追跡可能な移送手段を挙げています。移送する特定個人情報の特性等に応じて適切な移送手段を選択してください。

 →「特定個人情報の特性等」とあるので、「この書類は書留で、この書類は普通郵便で、・・・」と手順を明文化せよということでしょうね。従業員に手間がかかることもあるので一概に決めてしまうのは違うと思います。

91.当委員会においては、本ガイドライン、本ガイドラインに係るQ&A及び研修用資料を整備する予定です。

 →やった!おおいに活用させていただきます。

102.内定者が確実に雇用されることが予想される場合(正式な内定通知がなされ、入社に関する誓約書を提出した場合等)には、その時点で個人番号の提供を求めることができると考えられます。

 →これは明確なガイドですね。誓約書を提出してもらわない場合は入社予定日を内定者が確認した旨の書面を交わしていれば条件を満たすと考えてよさそうです。

106.「契約内容等から個人番号関係事務が明らかに発生しないと認められる場合」とは、地主に対する地代等の支払のように契約内容等により年間の支払金額が明らかで、支払調書の提出基準に満たない場合等が考えられます。

 →「契約内容等により」「個人番号関係事務が明らかに発生しない」の基準も一定の判断ができそうです。

107.(人材派遣会社への登録においても、)登録時にしか本人確認をした上で個人番号の提供を求める機会がなく、実際に雇用する際の給与支給条件等を決める等、近い将来雇用契約が成立する蓋然性が高いと認められる場合には、雇用契約が成立した場合に準じて、個人番号の提供を求めることができると解されます。

 →38のコメントで触れた点ですが、解釈に幅があって混乱しそうです。「近い将来雇用契約が成立する蓋然性が高い」というのは、たとえば希望職種や希望条件等を聴取したり案件を紹介するなどして、派遣会社と登録者の二者間で雇用に向けた具体的なやりとりが行われている状況を指すと捉えてよいのでしょうか。いずれにせよ、マイナンバーの提供を求めるときには何らかのエクスキューズ(たとえば「就業を前提に提供いただきますが、3ヶ月以内に決定しない場合は廃棄します」)を入れたほうがよいのでしょう。

108.社会保障や税の決められた書類に個人番号を記載することは、法令で定められた義務であることを周知し、提供を求めるようにしてください。それでも提供を受けられないときは、書類の提出先の機関の指示に従ってください。

 →マイナンバー制度に対する国民の理解は進んでいないし、「お役所」に不信感を持っていて提供を拒む人は結構いると思います。個人情報の安全管理措置について従業員の信用が得られていない会社も収集に苦労するでしょう。さらに、現住所と住民票が異なっていてそもそも本人が通知カードを受け取れないケースもかなり起きるはず。制度開始後しばらくの間(情報提供ネットワークが2017年1月に稼動するまで?)、提出先機関は何らかの経過措置をとらざるを得ないでしょうね。

119.本人の個人番号が記載された給与所得の源泉徴収票は、住宅の取得に関する借入れ(住宅ローン)などで使用することが想定されますが、そのような場合は、番号法第 19 条各号において認められている特定個人情報の提供に該当しないことから、本人の個人番号部分を黒塗りにする等の工夫が必要となります。
133.給与所得の源泉徴収票については、所得税法施行規則により、本人に交付する分についても本人及び扶養親族の個人番号を記載することが義務付けられています。

 →この施行規則は実態(源泉徴収票がローン審査に用いられる)を捉えておらずちょっと乱暴に思えます。本人にマジックペンなどで黒塗りにしてもらうんだろうか・・・。人事部門が源泉徴収票を発行する際に本人に用途を確認して、個人番号を印字するかどうか判断できればいいのに。パッケージソフトでの実装は簡単でしょうし。

140.廃棄が必要となってから廃棄作業を行うまでの期間については、毎年度末に廃棄を行う等、個人番号及び特定個人情報の保有に係る安全性及び事務の効率性等を勘案し、事業者において御判断ください。

 →最大1年間は事務の効率性を勘案してよいということ。具体的かつ現実的なガイドで助かります。

153.(意見:事務処理上、支払請求書と、番号の届出書とをセットで移動させる場合、番号の届出書だけを抜き出して廃棄する事務負荷が高いことから、セットで法定保存年限に従い、保存して良いか、確認させていただきたい。)御理解のとおりです。

 →請求書と番号の届出書を別にするほうが都合がよいのかはまだ考えあぐねているところ。このガイドがあるので、あとは書式の工夫次第でしょうか。

160.バックデータ中の個人番号についても廃棄が必要です。保存期間を過ぎた個人番号については自動的に削除されるようなシステムを構築するなど工夫してください。

 →あちゃ、盲点でした。マイナンバーを保管しておく情報システムのバックアップデータが永久保管になっていないか確認が必要です。

166.(意見:「特定の個人と同一のものであることが明らかな場合と利用事務実施者が認める」という点について、利用事務実施者毎に見解が異なるということがないよう強く要請したい。雇用関係を理由として、身元確認を省略できることの適用について、一つでも適用できないケースがあると、実務上その果実を受けることができなくなるため。)※174,175,177も同様の意見

 →ガイドラインを読んで最も腑に落ちないのがこの記述。提供先機関すべてに確認しなければいけないというのは受け入れ難いし、そこの基準は揃えて示してもらわなければパニックになりそうです。例えば、過年度分の源泉徴収票を市区町村に提出済みの場合は市区町村が本人確認済みとみなせるので不要、となると非常に楽ですが、果たして…。

171.電子情報処理組織を使用して個人番号の提供を受ける場合の本人確認の措置は番号法施行規則第4条に定められており、それに従って行ってください。

 →この番号法施行規則第4条というのが非常に難解な構文で、なんのこっちゃという感じなのです。ガイドラインはそれをかみ砕いてわかりやすく説明してくれるものじゃないのでしょうか…。ここの意見にあるような、本人が携帯電話やスマートフォンで撮影した通知カードと本人確認書類の画像データを人事システムにアップロードして人事部門がそれを確認するという方法が認められるのか判断がつきませんでした。

198.(意見:行政機関等へ提出する法定調書への記載漏れ/ミスや事業者へ知らされていない個人番号の変更により、法定調書へ記載する個人番号に誤りがあった場合、再提出を促す連絡・通知はなされるか。)書類の提出先の機関の指示に従ってください。

 →この点も、業務設計をするにあたって非常に気になるところ。特定個人情報保護委員会の範疇の話ではないので、各機関から早めにガイドが出されることが望まれます。

200.(意見:マイナンバーが記載されるという裏面のコピーは禁止し、表面の許可されるのでしょうか。コピーは裏表とも禁止されるのでしょうか。身分証明書として確認を行う従業員がどれほどの教育を受け、確認者・確認状況の履歴記録を義務づけることになるのでしょうか。疑問です。)

 →なるほど、たしかに意図しない取得は起きてしまいそうです。個人番号カードの裏面に、「個人番号利用事務または関係事務以外での複写を禁ずる」などの文言を入れるとよいかもしれません。


京急線の八ツ山橋踏切の高架化の件、南千住-三ノ輪間(3.9%の急勾配)の通勤ラッシュのツラさを知る者から言わせてもらうとやめたほうがいい。「物理的には可能」だとしても、徐行運転の多いターミナル手前の急勾配はきっと怪我人が出る。旅行客を優先して通勤客を犠牲にしてもいいのだろうか?きっとスーツケースもバタンと倒れるよ…。

品川は大丸有と並ぶか、鍵は京急線の地平化(ケンプラッツ)

今年の流行語大賞は、「なでしこジャパン」でも「ぽぽぽぽーん」でも納得なんですけど、
もっと圧倒的に流行っていたと認識している言葉があります。

そう。「ソーシャル」です。

映画「ソーシャルネットワーク」のヒットから始まり、
ソーシャルメディアやソーシャルゲームの隆盛、
「ソーシャル就活」「ソーシャルアパートメント」なんて言葉も生まれました。

大震災を受けてテレビが「絆が大切だ」みたいな事を言ってたことも含めて
社会が「ソーシャル」に注目した一年だったように思っています。


タイトルは、9月に興味本位で参加したあるワークショップの名前。

そこで得た話をブログに書こうと考えていたのですが、
どうしてもうまくまとめることができず、メモをずっと放置していました。
そこで、勿体ないので、ここでそのまま晒すことにします。
メモなので僕の編集や改変も一部ありますが、工夫はありませんので悪しからず。



地域に入っていくむずかしさ
すでに失敗の経験があるとなおさら
どうやって「よそ者」でない存在になるか
 ⇒村役場に出向させる
 ⇒1/10以上が住民出資

経済性 財務諸表(修正可能)
社会性 巻き込み、やる気
環境 価値(地元の自然資産)

国の税金で「ソーシャル」を賄えた昔はよかった もう賄えない 
だからソーシャルファイナンスで「ソーシャル」を持続的にやる会社を増やすしかない

NPOをどうやって持続させるか
・自主事業(?)の充実
・新しいことが好きな人材を集める
※NPOは約40000あり、事業規模1000万以上は3%で、そのほとんどが介護系

地域に入るコツ
10年経ったら意見を言える、が、
持家か自営業者しか発言権がない。
いなくなったら困るから。

ローカルとソーシャル
人生を賭ける覚悟が必要
だから都会から人が入り込むのが困難
経済資本と異なり、引き上げるリスクが大きい

ソーシャルネットワークとは
社会関係資本 but ローカル性無し or ローカル性が差別化要因になる

ソーシャルで実はキーになるのが「お金との距離感」
「ソーシャル」
すぐそこにあるもの
しがらみのあるもの
おどろおどろしいもの ≒マネー
(お金の教育が必要 教育機関ではお金の使い方を教えてくれないから)

「社会」と「ソーシャル」の違い
巷で使われる「ソーシャル」は、「社会」の概念から、
枠組み、強い紐帯、お金、しがらみ、を取り除き、
関心・問題意識の同一性を取り込んだようなものを意味している
言葉が曖昧になったおかげで語られやすくなったのは良いが、
プラスの面だけが強調されている

ブレインストーミング後に発表されたのは、
ソーシャルエネルギー、ソーシャル寺子屋など。

9.11から10年が経った。

あの事件を境に世界は変わった、いや変わってない、
いずれの意見もよく聞かれるけれど、

世界に対する見方が変わったのは確実だろう。


10年前、僕は高校2年生だった。

あの衝撃の映像は、
ニュース番組の中継でリアルタイムで観ていた。

「ニューヨークのビルに飛行機が衝突したようです」のアナウンスとともに、
ビルの上層階から黒煙が燃え上がる映像が
最初に映し出されたときは「??」だったけど、

2機めが高層ビルに突っ込むのを見て感じた青ざめるような思いは、
そこに何かとても強い敵意があったことを、直感的に理解したからだった。

ビルの崩落は、目を覆いたくなる残酷な映像として目に焼き付いているけど、
同時に、それが資本主義的繁栄の象徴が傷つけられたことであると理解し、
世界が確実に悪いほうへ変わるだろう、という冷静な分析もしていた。


今ではブログやTwitterでマスコミ批判を繰り返している僕が、
最初にマスコミに対する不信感を抱いたのも、この事件だった。

冷戦終結から10年以上も経つのに米国に敵意を抱く勢力が存在することを、
マスコミはまったく教えてくれなかったからだ。

この国のジャーナリズムはどうにかして変えなきゃいけない。
そんな事を、大学の推薦入試の志望動機に書いたりもした。

9.11がもし無かったとしたら、そんな意識を持てたかどうか。
9.11は確実に僕の考え方を変えたし、僕の主義信条の形成において重要な要素を担っているのだ。


百貨店、スーパー、コンビニ、カラオケ店・・・。
街じゅうのいたるところで義援金の寄付の呼びかけが行われています。


僕もいくらか寄付をするつもりです。まず地震発生直後に、会社を通じて日本赤十字に1,000円寄付しました。

それから、セゾンカードの永久不滅不滅ポイントを義援金にできることを知ったので、
5000円分のポイントを義援金に換えて寄付しました。
2011/04/10 23:29:37
永久不滅ポイントで被災者義援金!1000ポイント(5000円分)を寄付しました! http://www.eikyufumetsu.jp/rc/jishinkifu/


そして、「Run×10(ラン・バイ・テン)運動」というものに触発されて、Twitterでこんな宣言もしました。
2011/04/09 22:52:12
決めた!地震から半年の9/11までに走った距離(km)×10円、泳いだ距離(km)×100円を、被災地支援団体か中央共同募金会に寄付します。 http://cyblog.jp/modules/weblogs/6324


このツイートの中で、「被災地支援団体か中央共同募金会に」と書いたのは、3つ理由があります。



1つめは、「みんな日本赤十字社にこぞって寄付しているけれど、他にないのか?」と考えたことです。
日本赤十字社は大きな組織ですから経費も莫大。そこよりも経費の割合が小さいところは
たくさんあるだろう、という事です。日本赤十字社の活動を支持しないわけではありませんが、
被災者がより大きく恩恵を受けられるよう、他の団体も探してみようと考えました。

調べてみると、今回の東日本大震災の義援金受付については、どうやら全額が
被災者に渡るということだったので、別に赤十字でもよかったのですが、そこは僕のあまのじゃく。
日本赤十字社に寄付が集中しすぎて、そのプレゼンスが上がりすぎるのではないか、と考えました。
赤い羽根募金などの活動をしている中央共同募金会も、義援金の受付体制は整っているはずです。
であれば、もっと受付窓口にバリエーションがあってよいと思いました。



2つめは、義援金の使い道です。
「被災者支援」と「被災地支援」のどちらを希望するのか、ということと関係します。
日本赤十字社も中央共同募金会も、集められたお金は被災世帯に支援金として直接支給されます。
(自宅避難者にどういうスキームで支給するのかという問題もありますが・・・)

東日本大震災義援金を受け付けています(日本赤十字社)

しかし、僕が拠出しようとしている金額は、微々たるものです。
被災者に支給されたら、食料とか衣料とかに使われてすぐになくなってしまいます。
だから、僕のエゴと言われても良いのですが、僕が寄付をする意味を真剣に考えると、
重要なのは、金額の多寡ではなく、何に使われるかということになります。
言い換えれば、レバレッジの利いた寄付をしたいと考えています。

2011/04/20 07:57:43
僕が拠出できる金額は僅か。だからこそ、成果の大きい復興支援に使いたい。▶お金の流れも、義援金から復興支援へ。 真価が問われる「復興支援ファンド」の使い道|『社会貢献』を買う人たち|ダイヤモンド・オンライン http://t.co/iOTzrBF via @dol_editors

そこで、僕の寄付したお金を元手に活動を行って、その金額より大きなリターンを
被災者に与えることのできそうな被災者支援団体を探そうと考えています。
この震災の被災者支援はかなりの長期戦です。半年後も1年後も寄付が必要になります。
9/11までに、たくさん走ってたくさん泳いで拠出金額を増やすとともに、
どの団体に寄付するのかも、じっくり考えるつもりです。



3つめは、別の観点から。
所得税や住民税には「寄付金控除」というものがあるのを、みなさん知っていますよね?

寄付金控除(国税庁)

対象となる団体に寄付した金額は、領収証を添付して確定申告をすれば、
わずかですが、還付金が戻ってきたり、次年度の税額が下がったりします。
僕は、ユニセフのマンスリーサポートプログラムという仕組みを利用して、
クレジットカードでユニセフに寄付をしているのですが、昨年度は1350円の還付金を受けました。

この寄付金控除のイマイチなところは、確定申告が必要だということです。
サラリーマンには手続きがよくわかりません。僕も最初の年は苦労しました。
けれど確定申告のウェブサイトは毎年少しずつ改善されていて、
手続きの煩雑さはかなり緩和されています。慣れれば簡単です。

    1. 源泉徴収票を見ながら入力して作成した申告用紙をプリントアウト
    2. 源泉徴収票と領収書を添付して郵送


ところが、確定申告が必要ということ以上に問題なのは、対象団体が非常に少ないことです。
赤十字や中央共同募金会、ユニセフなど、かなりメジャーな団体でなければ、寄付金控除の対象になりません。

ある程度まとまった金額を寄付する場合や、毎年継続して支援することを考えると、
僕は節約志向なので、やはり寄付金控除の対象となる団体に寄付したいと考えます。
そうすると、寄付先の選択肢は相当限られてしまいます。

政治資金規正法などとの関連もあって難しかったこのあたりのルールを変える動きは、
国会で高まっていたのですが、年初の政局が相当混乱したせいで、結局廃案になってしまったようです。

2011/03/13 14:05:08
地震前のツイートだけど、今こそ法案の重要性がわかる。引き続き働きかけたい。RT @Hiroki_Komazaki: NPO経営者の皆さん、我々の悲願の寄付税制改革は、今まさに葬られようとしている: 全国の同志の皆さん、残念なお知らせです。 http://bit.ly/fzYHKP


僕はこの寄付税制改革の実現を訴えます。
メジャーな支援団体だけでなく、急造の小規模な支援組織でも、
生産性の高い、少ない資力で大きな効果を生むことのできる団体に寄付することが、
寄付金控除という支援者支援のしくみに取り入れられることを望みます。
そして、タイガーマスクのような匿名の寄付行為だけでなく、
実名を出して顔の見える寄付行為をすることが、うがった見方をされずに、きちんと賞賛される。
そんな寄付文化が、日本にも築かれることを目指したいのです。

そして、「寄付金控除の枠組みを利用して被災者を支援する」ことの不自由さをアピールするために、
寄付金控除の対象となる団体の中からもひとつ選んで、義援金を小額寄付するつもりです。



さて、そんな3つの理由で、被災地で活動し、活動資金を必要としている支援団体の中から、
寄付する団体を選ぼうと考えているのですが、ここでひとつの問題にぶつかります。

どの団体が信頼できるのか、実行力があるのか、わからないのです。

この事に関連して、
特に法人が被災者支援を唱えるときに、こうした被災者支援団体を寄付先に選びづらいという問題について、
社会起業に詳しいフリーライターの今一生さん(@conisshow)とTwitterでやり取りをしたことがありました。

2011/04/20 23:46:54
社会的信頼のあるNGOが素早くNPOを審査して推薦する仕組みも必要だ。RT @conisshow: 被災地の避難民を直接支援している現地のNPOは支援活動費に困窮してるので、直接振り込んだほうが有意義に早く活用される「生き金」になります http://bit.ly/hNwc2y

2011/04/20 23:48:42
@tdswordsworks オーソライズというのは、結局は市民自身が決めるものであり、それは社会的価値という市場においてオープンなものがベストですよ。つまり、既存の権威からの認められるということ自体がオルタナティブな価値を救い上げることにそぐわないのです。

2011/04/21 00:28:28
@conisshow 個人がNPOを選んで支援する場合はそれでいいのですが、非オーナー経営の法人がこぞって赤十字社に義援金を送ってる現状を省みると、既存の権威による推薦もあったほうがいいなと思います。実績不明のNPOにお金を出す判断は社内稟議通りづらいので、安全パイの赤十字社へ。

2011/04/21 00:33:06
@tdswordsworks もっともね、大企業のCSRは独自の基準で助成金を出す際にNPOの内部調査をやるんですよ。なので、事実上、助成金対象として認められれば、一定の信頼を得られるわけです。たまに、調査が甘いところもあるけど、概ねそこで信頼は担保されてます。

2011/04/21 08:27:58
@conisshow 支援対象候補の社会的価値を自ら判断する人は増えますね!一方でそんな難しいこと期待できないクラスタもいるので、初めの一歩がオーソライズ情報でもいいかなって。初めは薦められたものを買ってハマったら自分でお気に入りを探すスタイルなら、慣れてるから。

2011/04/21 11:28:20
@tdswordsworks なるほどね。もっとも、社会的信用のあるNGO自体が、信頼性の高いNPOを精緻かつ早期に認証していく仕組みを「誰」が音頭をとって作り上げるか次第ですね。それさえ明らかであれば、話は進むし、有事に備えられますね。


今、義援金の寄付は一種のブームになっています。
多くの人が義援金として寄付をしています。

けれど感じるのは、「周りもやってるから自分もやろう」という感覚です。

とてもすばらしいことに、いろんな企業や団体が義援金を受け付けていて、
受身であっても、寄付という行為ができてしまう環境が作り上げられています。
しかし、この環境は長く維持できるものではありません。
日本赤十字社による東日本大震災義援金の受付は、今年の9月30日で終了するのです。

寄付税制が貧弱なこの国では、寄付をするためには、積極的な意思が必要です。
「お願いします!」と呼びかけられなくても自ら募金箱を探して寄付するぐらいの積極性が必要なのです。

今一生さんの言うように、それを兼ね備える、寄付に対して抵抗のない人たちが
支援すべき団体を自ら探して寄付を行うという行為は、どんどん広まっていくと思います。

けれども、そうでない人たちがたくさん寄付をして困ったときに助け合えるだけの資金が集まることが、
人口減少・少子高齢化により競争力が低下する21世紀の日本社会には、絶対に必要です。

それを実現するヒントになるのが、野菜のタグについてる生産者番号です。
生産者番号の他に、売場に生産者の顔写真が貼ってあったりもします。
そういう野菜が「安心」だとして、選んで買われるのです。

自分の寄付したお金が誰に渡るのか、どんな活動に使われ、どんな成果が出るのか。
これが明確になれば、寄付という行為に対する心理的ハードルはもっと下がるはずです。
義援金の配分では、個人情報保護の都合でそれは難しいでしょう。
だからこそ、今回の義援金ブームをそれだけで終わらせずに、被災者支援組織に対する寄付を
いかに多く集めるかが、日本の寄付文化の定着につながると、僕は考えています。



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みなさんの考えも聞かせてください。
よろしくお願い致します。


今日で、あの地震からもう2ヶ月が経つ。
2ヶ月前から、日本はまるで違う国になってしまった。
それまでは到底想像だにしなかったことが次々と起きた。


津波。

あんな大きな津波が起きて、1万以上の人の命を奪うなんて、誰が想像できた?
宮城県名取で被災した友人の話では、海岸から6kmの場所まで津波が来たらしい。
6kmも離れていたら、そこが海の近くだなんて思わないし、津波なんて考えもしない。


原発事故。

その大津波が、よもやこんな大事故を引き起こすなんて、考えてもみなかった。
外壁の吹き飛んだ原子炉建屋の映像を、連日テレビで目にするなんて。
クリーン・エネルギーの代表格とされてきた原発が、実は全然クリーンじゃないことも知らなかった。


電力不足。計画停電。

完全に想定外だったのが計画停電。
日本の首都が深刻な電力不足に陥り、産業や医療に大きなダメージを与えるなんて。
リフォームが終わったらエアコン買う予定だったけどやめた。今年の夏はきっと死人が出る。


デマの拡大。

多くの人が不安に駆られ、手軽なソーシャルメディアで様々な情報を発信した。
その中には、事実誤認によるデマも多く見られ、またそれが伝播するのも極めて早かった。
有名人が原発事故に過剰反応して、必要以上に不安を煽るなんてことも、想像しなかった。



不安の波が僕の生活の一片や心身へ押し寄せ続けた2ヶ月だった。
けれど、想像していなかった希望も、たくさんある。



海外からの支援

台湾のチャリティー番組で40億円の義援金が集まったとか、
アフガニスタンのカンダハル市から400万円(!)の義援金が送られたとか、
こころ温まる、あるいは奮い立たせてくれる写真やメッセージが次々と寄せられるとか、
日本がこんなに海外から好かれているなんて、あまり考えたこと無かった。


節電

東京電力の電力供給能力が著しく落ち込んだけれど、予期せぬ大規模停電は回避された。
ちょっと無理している部分も大きいけど、その気になれば電力をセーブできるのだという事が
明らかになった。結論、消費電力をぐっと抑えて生活することは可能。
この危機を、日本が省エネ技術で世界を再びリードするための大きなチャンスにすることも可能だ。


ソーシャルメディアの価値

そんきょばさんのツイート
2011/03/12 15:39:23
Twitterをやってる人とやってない人の間で、この件の関心度が違うと感じる。「(なんか自分のいない所で)大変な事になってる」程度だった意識が、関心度の高い人々のつぶやきや、被災地のつぶやきに触れる事で意識が変わっていく。逆にデマは怖いが、なかなかいいじゃないかTwitter。


さとなおさんのブログ(2010年4月6日)
今回、ソーシャルメディアはいろんな部分で機能したと思うが(過大評価もしないし過小評価もしない)、ポイントは、日本を含め、世界中の多くの人々と「当事者意識を共有できたこと」だとボクは思う。

テレビのこっち側で傍観しているのではなくて、あっち側の当事者意識を共有できたことが、ソーシャルメディアの一番の意義だったのではないかと思う。

今度はその当事者意識を、この長丁場で「どこまでキープできるのか」が問われている。この先、「共感」と「つながり」で社会が再編成されるとするなら、その真のチカラが試されることになるだろう。


ソーシャルメディアが震災のときに役に立ったかと聞かれると、全員がそうではないはずだ。
僕の場合地震の日は会社にいたので、PC環境に困ることなく、情報はすぐ手に入った。

けれど、三陸の被災地や福島の避難地域を想う感覚は、ソーシャルメディアのおかげで増幅したし、
個人対個人で繋がっているからこそ当事者意識が芽生え、支援したいと考える。
繋がっているからこそ、できる支援と必要な支援のアンバランスも把握しやすい。

実はこれこそが、震災前は想定していなかったソーシャルメディアの最大の威力だと思う。


もう以前の日本には戻れない。
原発はこれ以上作れないし、津波で壊滅した街を元どおりに復元することはできない。

けれどこれから先、時間はかかるかもしれないけど、新しい暮らしを作っていくことはできる。
日本の政治や社会が目指すべきところは、じっくり考えて決めよう。

前提として。生産活動およびそれをサポートする活動は行政によって推進、支援される。多くの場合は、何らかの基準を設け、それを満たす活動に対して実施される。公正な基準を設けるのが難しい場合は、定額給付金のように財政出動を伴って一律に実施される。基準は、報奨金支給の場合は、活動成果の質や量に、補助金支給の場合は、その見込みの評価に置かれる。つまり、見込みの評価方法の信頼性が、生産活動支援においてはとても重要ということになる。活動成果の質や量は、自由市場の競争原理が働く場合、活動の中で改善のインセンティブが働くが、それが働きにくい場合(寡占市場、供給不足の市場、非合法ビジネス、公共サービス、家庭など)、何らかの方法によって補助金支給後の成果を担保する必要があるし、成果の出ない対象に対しては改善指導あるいは排除をする必要も出てくる。

ここから本題。生産物を、4つの経済資本すなわちヒト、モノ、カネ、情報に分類して、このうちヒトについて、社会を発展させるために有効な生産活動支援とはどうあるべきかを考えてみる。人口増加は需要拡大に直結するので子育てを推進する施策は必要だが、それだけでなく、生産能力の高い人材を育てることが求められる。評価対象はリテラシーとスキルだから、生産活動は家庭では不十分なので、教育や職業訓練などの能力開発を行う。しかし、人材生産活動の成果の最大化のためには、能力開発と再生産活動への意欲は必須であり、また、障がいなども含めた個人の能力差、あるいは主婦や兼業など複数の生産活動への従事を考慮するならば、それに応じて能力を最大限に発揮するための人材再配置のしくみも整備されるべきである。

警察庁の統計によると、「65歳以上」の万引き犯が急増している。

10年前は、10代⇒約4万人、65歳以上⇒約1万人だったのが、
2008年には、10代⇒2.6万人、65歳以上⇒2.7万人と、逆転。

65歳以上の件数が増えてる原因として想定できるのは、
①生活苦による犯行の増加
②痴呆による犯行の増加
③絶対的人数の増加
でしょうか。

10代の件数が減ったのは元気がなくなったからだ、とか言う
どこぞのバカな政治家みたいな人はいないと信じるけど、想定できるのは、
①ケータイ使うのに忙しすぎて万引きする暇がなくなった
②衝動の捌け口がネットなど内向的な方法に移った
③万引きしたいと思う魅力ある商品がなくなった
④防犯効果
⑤絶対的人数の減少
だと思うのですが、いかがでしょうか。

しかしね、お年寄りを大切にしましょう、とか言われても、
高成長社会に安住し、不景気になったら不満ばかり言って借金を積み、
さらに万引きまでするダサカッコ悪い金食い虫に対して、
そんな気持ちには、さらさらなれないよなぁ。

どうにかしないとー。

2年ほど前、民際センターっていう財団法人を通して
タイの中学生1名に奨学金3万円を提供したんだけど、
今日、その奨学生本人が回答したアンケートの答えが届いたのです。


好きなスポーツ: サッカー
趣味: スポーツ
放課後の過ごし方: 掃除、友達と遊ぶ
自分の性格: 陽気
希望する職業: 軍人
奨学金の使い道: 交通費
通信欄: Thank you very much.


へ?


「軍人」なんて答えが書かれるとは思ってもなくて、
ショックだったのは確かだ。

この子の暮らす場所や家族環境は知らされているんだけど、
やっぱり背景とか、掴みきれないね。

4行用意されている通信欄に「Thank you very much」しか書かないのは、
勉強が巧く身についていないからだろうし、
だとすれば、公務員とかエンジニアとかは諦めてるのかもしれない。

タイの国内情勢は今とても不安定で、そういう中で
「軍人になれたらいいな」って思うのは、
街を守ろうという正義感からなのか、それとも消極的な選択なのかは、
ぜんぜんわからない。


けれど、それでも、俺が直接何かしてやってもリターンを期待できないだろう
途上国の貧しい暮らしの一辺を垣間見れるのは、
貴重なことだと思って、この手紙をしまっておこうと思う。


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