この土日から恵比寿の写真美術館でスタートした展覧会「かがやきの瞬間」に行ってきました。

  「スナップショットの魅力」展

  ニュー・スナップショット


「スナップショット」の定義ってよくわかってなかったけど、

下準備その他特にせず、日常のできごとあるいは出会った光景を一瞬の下に撮影する写真。撮影される人物が身構えている写真スタジオでの撮影や記念撮影などに対し、日常の緊張が取れた姿(カメラを意識しない姿)から撮影される人物の自然さ(による魅力)を引き出し、記録するものである。(出典:Wikipedia)

とあります。風景写真もスナップショットに含まれるという認識はありませんでした。19世紀末に小型カメラが誕生してから、写真表現の中心はスナップショットが担ってきたということになります。


さて、この展覧会ですが、かなりよかったです。

収蔵作品展である「スナップショットの魅力」は、有名なフォトグラファーたちがブレイクするきっかけとなった作品を多数展示し、それこそスナップショットによる写真美術の歴史(1930年代以降)を振り返るような内容で、トレンドや表現手法がどのように変わりつつ受け継がれてきたのか、その概略が掴めるようになっています。初心者も写真好きも楽しめる内容。
特に、「RFK Funeral Train (ロバート・F・ケネディの葬式列車)」という作品は圧巻でした。そこにある同調性は圧倒的で恐ろしさすら感じますが、これを収めて写真集にしてしまう写真家って凄いです。

対する「ニュー・スナップショット」は、写美の展覧会シリーズ「日本の新進作家展」の第9弾。6人の参加作家のうち前半3人は、割とオーソドックスな写真を発表する方々で、後半3人はそれぞれ独特のアプローチで攻める方々。こちらの展示も、現在の日本の新進写真家たちの表現方法の拡がりをおおまかに掴めるようになっているのがよかったです。
ここで1名だけ推すとすれば、すでに亡くなられていますが、中村ハルコ氏の作品。イタリア・トスカーナ地方のある家族を撮影したこの作品を、ヨーロッパ信仰は持ち合わせていない僕はやや批判的に観たのですが、色鮮やかに家族の幸せを活き活きと写し取っていて、何でもない写真なのに、やけにインパクトがありました。

総じて期待以上。作品の凄さ以上に、表現論のトレンドの流れや大枠を掴める今回のような企画展のアイデアが素晴らしい。

来年2月6日まで続きますので、ぜひ!